つつみのおひなっこや事件

皆さまこんにちは。mimiです。

昨日は日中20分位歩いただけで頭痛、ふらつき、吐き気、顔のほてりなど

軽い熱中症になってしまいました。

毎日本当に日差しがきつくて危険なので、涼しい風が吹く秋が待ち遠しいです。

さて本日は、弁理士試験では絶対避けては通れない

「つつみのおひなっこや事件」(最高裁平成20年9月8日判決)を

書きたいと思います。

これは、「つつみのおひなっこや」と「つゝみ」「堤」の商標が

類似するかどうかについて最高裁まで行って争われた事件です。

「つつみ」は仙台市の地名で「おひなっこや」はひな人形屋の意味です。

つまり「つつみのおひなっこや」は、地名と

「ひな人形屋」という言葉が組み合わさった結合商標です。

最高裁では、いわゆる結合商標「つつみのおひなっこや」の

一部を抽出することはできず、「非類似」という判断が出ています。

「つゝみ」および「堤」の商標権者は、「つつみのおひなっこや」(本件商標)が

「つゝみ」および「堤」に類似し、

商標法第4条1項11号に違反して商標登録されたことを理由として、

無効審判を請求しました。

これに対し、特許庁は非類似の判断をしたため、

「つゝみ」および「堤」の商標権者が審決取消訴訟を提起しました。

原審(知財高裁平成19年4月10日判決)は、

本件商標が商標法4条1項11号に該当すると認定し、

「つゝみ」および「堤」の商標権者の請求を認容し類似の判断をしました。

これに対し、「つつみのおひなっこや」の商標権者が上告しました。

最高裁は、結合商標の一部を抽出し、その部分だけを他人の商標と比較して

商標の類否判断をする手法が許される場合についての考え方を判示しました。

こちらを参照

以下『』に記載しています。

『商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き許されない』

つまり、抽出が許される例外は   ①「一部」が強く支配的
                 ②それ以外の部分が識別力生じない。
場合である。
したがって、

『「つつみ」の文字部分だけを引用各商標と比較して本件商標と引用各商標の類否を判断することは許されないというべき』

<結論>
 ・特許庁→非類似の判断
 ・知財高裁→類似の判断
 ・最高裁→非類似の判断(「つつみのおひなっこや」と「つゝみ」「堤」の商標は非類似。)

最高裁では、結合商標「つつみのおひなっこや」の一部を

抽出することはできないとの判断です。

この判例を書くにあたり、辛かった弁理士試験受験生時代を思い出しました。

論文の答練で点数が一桁だった時には、

本当にこのまま試験勉強を続けてもよいものか

あきらめた方がよいのか、とても悩みましたが

最後まであきらめずに勉強を続けてよかったと思います。

受験生の時は出口のないトンネルの中に居るような感じでしたが、

今思えばとても良い経験だったと思います。

話が逸れてしまいましたが、「つつみのおひなっこや」事件は

結合商標の類否判断に非常に重要な判例ですので、

忘れないようにしていきたいと思います。

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