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美術鑑定書事件

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みなさま こんにちは。 大阪を中心に関西で格安の商標登録出願を行っているシングルマザーの弁理士mimiです。 昨日の台風はすごかったですね🌀 mimiは昨日一日中不調でした。 低気圧が近づくともともと不調になりやすかったのですが、 昨日は台風の影響なのか蒸し暑かったり寒かったり頭痛がしたりしていました(;´・ω・) 今日は台風も通り過ぎ、とても過ごしやすい気温です。 さて本日は、久しぶりに判例紹介をしたいと思います。 知財高裁の判決日が平成22年10月13日で、 事件番号は平22(ネ)10052号の美術鑑定書事件です。 鑑定対象である絵画の縮小カラーコピーを美術鑑定書に添付することが 適法な引用にあたるか否か争われた事件です。 美術鑑定書事件では、引用が許されるための要件が示されました。 著作権法第32条第1項には、 公表された著作物は、公正な慣行に合致し、報道、批評、研究 その他の引用の目的上正当な範囲内で 引用して利用することができると規定されてます。 他人の著作物を引用して利用することが許されるためには、 引用して利用する方法や態様が 公正な慣行 に合致したものであり、 かつ、 引用の目的との関係で 正当な範囲 内、 すなわち、 社会通念に照らし合理的な範囲内のものであることが必要である。 また、引用としての利用に当たるか否かの判断は、 他人の著作物を利用する側の利用の目的のほか、 その方法や態様、 利用される著作物の種類や性質、 当該著作物の著作権者及ぼす影響の有無・程度などが 総合考慮されなければならないと判示されました。 したがって、鑑定対象である絵画の縮小カラーコピーを作成し、 これを美術鑑定書に添付する行為は、適法な引用であると認められました。 つまり、著作権侵害に該当しないと判断されたということです。 実際に実務上では、公正な慣行、正当な範囲か否かの判断が一番難しいと思います。 個々の事例で判断するしかないですね。 以上、美術鑑定書事件でした~。 あっここまで書いて、今気づいたのですが、 Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン 著作権法は弁理士口述試験範囲外でしたね(-_-;) 今回の記事は、弁理士短答試験合格を目指している方や実務者向けとなりました。 次回は口述試験を控えていてmimiの記事を毎回読んでくださっている方のために 弁理士口述試験直前対策の記事

小僧寿し事件

みなさま ごきげんいかがですか。 mimiです。 最近魚介が無性に食べたくなっており、 今日はエビマヨを作りました。 エビがぷりぷりで口いっぱいにエビが広がり、 美味でした~。美味しいものを食べているときは、とても幸せな気分(^^♪です。 美味しいものは一人ではなく、やはり誰かと共感しながら食べたいですね。 本日は、判例紹介ということで、 有名な「小僧寿し事件」をご紹介したいと思います。 この小僧寿し事件は、某弁理士が「この判例はおかしい!」と繰り返し 豪語しておりましたので、私にとってとても印象深い事件です。 事件は、登録商標「小僧」の商標権者が、 有名チェーン店(小僧寿し)の商標「小僧寿し」を訴えたことから始まります。 小僧寿し事件では、商標の類否判断なども示されたのですが、 今回は損害不発生の抗弁についてフォーカスを当てたいと思います。 損害不発生の抗弁が認められるための要件として、以下の2点が挙げられています。 1.登録商標に顧客吸引力が全く認められないこと 2.登録商標に類似する標章を使用することが侵害者の商品の売り上げに 全く寄与していないことが明らかなこと したがって、1.登録商標に顧客吸引力が全く認められないことだけでは不十分です。 1.2.を満たす時には、 得べかりし利益としての実施料相当額の損害額も生じていないと判示されました。 この事件では、登録商標「小僧」に顧客吸引力が全く認められず、 登録商標に類似する標章「小僧寿し」を使用することが 侵害者の商品の売り上げに全く寄与していない ことが明らかであるため、損害は生じていないという判断です。 商標権者が負けるのはちょっと意外ですね。 「商標に化体した業務上の信用を保護すること」が、 商標を保護する目的であると考えれば当然と言えるかもしれません。 商標法だけこのような抗弁が主張できます。特許法と異なる点ですので、 注意しておきたいところです。 商標法には、不使用取り消し審判というものがあるのも特徴の一つです。 登録商標を3年間継続して商標権者等が使用していなければ、 何人も不使用取り消し審判を請求できます。 登録商標は使用していなければ、取り消されてしまうというのが特許権と異なります。 そのほかにも商標法には取り消し審判がいくつかあるのですが、 そのお話はまた今度にいたします。 それでは、この辺で

月の友事件~商標法第4条1項8号~

皆さま どうもこんにちは。 mimiです。 今日は涼を求めてさまよい歩きましたが、 ファーストフード店はコンセントが無かったので断念し、 カフェは臨時休業中、市の施設は本日閉館で ベストな場所が見つかりませんでした。 こんな日は図書館に行くべきでした。 リビングの切れた電球を昨日Amazonで注文したのですが、 今日にはもう配達されました。 Amazonは仕事が早いですね~。 やはり、消費者にとってすぐに商品が届くのはうれしいもんです。 mimiも見習わないといけません。 さて、本日は株式会社の商号についてお話したいと思います。 以前、商標登録の要件の記事の中で、 他人の肖像又は他人の氏名などを含む商標は不登録事由であるというお話をしました。     詳細には、 「他人の肖像」 又は 「他人の氏名」若しくは「名称」若しくは「著名な雅号、芸名」若しくは「筆名」若しくは「これらの著名な略称」 を含む商標は、 商標登録を受けることができないと規定されています(商標法第4条1項8号)。 ちなみに、「これらの」は、「他人の氏名」若しくは「名称」若しくは「著名な雅号、芸名」若しくは「筆名」 すべてにかかっています。 「月の友事件」では、 株式会社○○の株式会社の文字を抜いた○○は この商標法第4条1項8号のうち、どれに該当するかということが争われました。 判例によると、 株式会社の商号から株式会社なる文字を除いた部分は、商標法第4条1項8号にいう 「他人の名称の略称」に該当するとされています。 つまり、登録を受けようとする商標が 他人たる株式会社の商号から株式会社なる文字を除いた略称を含むものである場合には、 その商標は、当該略称が他人たる株式会社を表示するものとして 「著名」であるときに限り登録を受けることができないという判断です。 判決日:最判昭57・11・12 事件番号:昭57(行ツ)15号 株式会社○○の株式会社の文字を抜いた○○が「著名」でなければ、 商標法第4条1項8号に該当しないということになります。 なお「著名」とは、一地方だけでなく全国的な周知性が必要とされています。 以上、月の友事件でした~。 それでは、この辺で~また明日、ごきげんよう。

真正商品の小分け~オイルトリートメント事件~

みなさま グンモーニンアフタヌーンイーブニーン~ mimiです。 いつものmimiのご挨拶ですが、 自分がブログを書く時間帯とそれを読んでくれる人の時間帯が 同じとは限らないよ、という指摘を受けましたので、 ちょっと変えて見ました。 また色んな指摘を受けそうですが、 それはさておき、 昨日mimiは、ミッションインポシブルのナイトショーを見るために、 早目に夕食を済ませました。 上映時間が近くなったので、映画館に向かっていると、 その道中で何かを買い求めて並ぶ人達の長蛇の列を発見しました。 なんだ、なんだとよく見てみると、 昨日は8月8日ということで、 ビアードパパの日だったのです。 いつもは1個160円するシュークリームが、 昨日だけ100円。 絶対これは買うべきでしょ。 と思ったmimiは、 ナイトショーまであと30分あるので、 並ぶことにしました。 そうこうしているうちに、 ハッと時計を見ると、 すでに上映時間が過ぎていました。 5分、10分くらいなんとかなるのではないかという淡~い期待もむなしく、 映画を観るというミッションはインポシブルになってしまいました。。。 Oh,no! ちなみに、mimiはオヤジギャグを言うからって決して”オヤジ”ではなくってよ。 シングルマザーだから男化するのは仕方のないことなの。 さて、気を取り直して本日は真正商品を海外から輸入し、 日本で小分けして販売することについて 侵害になるか否かということが争われたオイルトリートメント事件をご紹介します。   小分けする際に大型容器に付されている登録商標と同じものを小型容器に 付したとしても、商品の生産源を継続して表示しているにすぎず、 侵害には該当しないようにも思えます。 しかし、たとえ真正商品であっても、 何人でも(「なんぴとでも」と読みます。)自由にこれに登録商標を付し得るとするならば、 登録商標に対する信頼の基礎は失われ、 登録商標の機能を発揮し得ないことは明らかであると判示されています。 (判決日:大阪地判昭51・8・4、事件番号:昭51(ヨ)2469号) したがって、真正商品を海外から輸入し、日本で小分けして販売する行為は、 商標の出所表示機能が害されているため、侵害に該当します。 みなさま、小分けには十分気を付けましょうね~。 それでは、シーユー。

真正商品の並行輸入が商標権侵害になるか ~フレッドペリー事件~

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皆さま こんにちは! 暑さで溶けてしまっているmimiです。 しかし、暑い、暑い、暑い。とにかく暑い。 早く涼しい季節にならないかなぁ。 暑さで通常の二倍疲れやすいです。 あつはなついでんな~ ←関西人なら必ずつっこみが入ります(笑) そんな暑い毎日ですが、本日はちょっと嬉しい出来事がありました。 それは、記事の文末にある弁理士ランキングというをクリックしたら 飛ぶサイトなんですが、 ついに!! 『弁理士の人気ブログランキング第2位』を獲得しました。 皆さまクリックしていただきましてどうもありがとうございます!! 今後も皆さまに読んでいただけるようブログ更新続けたいと思います。 さて、本日は真正商品の並行輸入について記載します。 海外でのブランド品を輸入販売する場合、 何か気を付ける点や、問題点がないかという点について検討しました。 海外でのブランド品を輸入販売する場合の問題点として、 まずは、真正商品の並行輸入になるかどうかです。 真正商品の並行輸入とは、 輸出元の国において商標権者よって市場に出された製品を、 商標権者の承諾を得ずに、輸入する行為をいいます。 真正商品の並行輸入になる場合の要件は以下の3つです。 ①商標が外国の商標権者又は使用許諾を受けた者により適法に付されたものであること ②外国の商標権者と日本の商標権者が 同一人又は法律的若しくは経済的に同一人と同視しうるような関係があり、 同一の出所を表示すること ③日本の商標権者が直接的又は間接的に品質管理を行いうる立場にあり、 品質において実質的に差異がない場合には、 いわゆる真正商品の並行輸入となり侵害とはならないとする基準が最高裁で示されました。 まずこの三要件を満たしていれば、商標権侵害とはならないので安心して輸入販売できますね。 私は弁理士受験生のころ、この三要件を覚えるためにひたすら手を動かし、 紙に書き続けました。 何度も何度も書いているうちに脳が記憶しているというよりは 手が覚えているような感覚になり、 問題文を読んで、このフレッドペリー事件のことを言っているのだなとピンときたら この問題の点数はもらった!ラッキーと思うようになりました。 弁理士試験での重要判例はだいたい出ることろが決まっているので、 同じ問題を繰り返しするようにした方が色んな問題に手を出すよりも確実だと思います。 判例は

つつみのおひなっこや事件

皆さまこんにちは。mimiです。 昨日は日中20分位歩いただけで頭痛、ふらつき、吐き気、顔のほてりなど 軽い熱中症になってしまいました。 毎日本当に日差しがきつくて危険なので、涼しい風が吹く秋が待ち遠しいです。 さて本日は、弁理士試験では絶対避けては通れない 「つつみのおひなっこや事件」(最高裁平成20年9月8日判決)を 書きたいと思います。 これは、「つつみのおひなっこや」と「つゝみ」「堤」の商標が 類似するかどうかについて最高裁まで行って争われた事件です。 「つつみ」は仙台市の地名で「おひなっこや」はひな人形屋の意味です。 つまり「つつみのおひなっこや」は、地名と 「ひな人形屋」という言葉が組み合わさった結合商標です。 最高裁では、いわゆる結合商標「つつみのおひなっこや」の 一部を抽出することはできず、「非類似」という判断が出ています。 「つゝみ」および「堤」の商標権者は、「つつみのおひなっこや」(本件商標)が 「つゝみ」および「堤」に類似し、 商標法第4条1項11号に違反して商標登録されたことを理由として、 無効審判を請求しました。 これに対し、特許庁は非類似の判断をしたため、 「つゝみ」および「堤」の商標権者が審決取消訴訟を提起しました。 原審(知財高裁平成19年4月10日判決)は、 本件商標が商標法4条1項11号に該当すると認定し、 「つゝみ」および「堤」の商標権者の請求を認容し類似の判断をしました。 これに対し、「つつみのおひなっこや」の商標権者が上告しました。 最高裁は、結合商標の一部を抽出し、その部分だけを他人の商標と比較して 商標の類否判断をする手法が許される場合についての考え方を判示しました。 こちらを参照 以下『』に記載しています。 『商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは ,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の 出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合 や, それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き , 許されない』 つまり、抽出が許される例外は   ①「一部」が強く支配的                  ②それ以外の部分が識別力生じない。 場合である。 したがって、 『「つつみ」の文字部分だけを引用各商標と

フランク三浦事件

こんにちは!mimiです。 外出すると熱風でたちまち汗が吹き出しますね。 幼少期のように水浴びしたい今日この頃です。 さて、本日はフランク三浦事件について書きたいと思います。 フランク・ミュラー社の高級時計ブランド「フランク ミュラー」の パロディと言われる「フランク三浦」という商標をご存じでしょうか。 これは、登録商標「フランク三浦」の商標権者である株式会社ディンクスと、 登録商標「フランク ミュラー」の商標権者であるフランク・ミュラー社が 最高裁まで争った事件です。 事件は、株式会社ディンクスの出願商標「フランク三浦」が登録されたことから始まります。 フランク・ミュラー社は、株式会社ディンクスの登録商標「フランク三浦」を 無効にして欲しいと特許庁に無効審判を請求しました。 特許庁の審決では、「フランク三浦」の登録は無効であるとしてフランク・ミュラー社の 言い分を認めました。 しかし株式会社ディンクスは、その審決は誤りであると主張し知財高裁に出訴しました。 知財高裁では「審決は誤り」という判断が下されました。 その後、最高裁でも「誤りの判断に誤りなし」と判断されたため、 審決が誤りであることが確定しました。 審決取り消しの確定により、商標「フランク三浦」の登録は そのまま存続することとなりました。 このように判断された理由の一つとして、知財高裁は「フランク三浦」の称呼(読み方)と 「フランク ミュラー」の称呼(読み方)は似ているが、外観(見た目)や観念(意味合い)が 違うため、二つの商標は類似していないということを挙げています。 もう一つの理由は、本家「フランク ミュラー」の時計は多くは100万円を超える 高級腕時計であるのに対し、パロデイ商標「フランク三浦」の時計は 「とことんチープにいくのがコンセプト」であるように 4000円から6000円だから客層が全く異なる、 よって「フランク ミュラー」の時計と「フランク三浦」の時計とを 間違えるとは考えられないということでした。 パロディー商標に対してはフリーライド(ただ乗り)の観点から 厳しいことが多いため、今回のような判決はめずらしいと思います。 この事件はとても興味深い最高裁判決であり、商標法的には「フランク三浦」の登録は 存続していますが、もしフランク・ミュラー社が不正競争防止法で訴えたら結論は 異なっていたの